「逃げ場なし」「救いなし」の胸糞映画
「格差社会」「権力者の隠ぺい」社会悪をテーマに、
それに巻き込まれる善良な人々の世界を描いたカオスでハイクオリティなスリラー映画。
あらすじ
夢に見た結婚パーティーを迎えたマリアン(ネイアン・ゴンザレス・ノルビンド)。その日は、彼女にとって人生最良の一日になるはずだった。裕福な家庭に生まれ育った彼女を祝うため、着飾った政財界の名士たちが豪邸に集う。そんななか、マリアン宅からほど近い通りでは、広がり続ける貧富の格差に対する抗議運動が、今まさに暴動と化していた。その勢いは爆発的に広がり、遂にはマリアンの家にも暴徒が押し寄せてくる。華やかな宴は一転、殺戮と略奪の地獄絵図へと変容するが、マリアンは運良く難を逃れる。しかし、そこには軍部による武力鎮圧と戒厳令が待ち受けていた。電話や通信網は遮断され、ついさっきまで存在していたはずの法と秩序は崩壊、日常が悪夢へと変わってゆくのだった……。
貧富の差が社会問題となる作中において
ついに市民の不満が爆発し、富裕層を襲撃する事態に…。
街中で暴動がおこる中、軍部が国政を乗っ取り統制をとる事態に発展していきます。
そんなカオスな状況下で「結婚」という人生の絶頂期の真っ最中だった
主人公の転落劇が描かれる作品です。
クーデターが発生し、それを鎮圧するために一時的に軍隊によって統制されるのは良いと思いますが、そこからが酷かった…。
一部の軍人による民間人に対する拉致・監禁、略奪行為の数々。
おまけには軍に対するヘイトを集めないために、善良な市民に罪を擦り付ける隠ぺい工作のおまけ付きときました。
主人公を含めた人情のある常識人は例外なく最悪の最後を迎えることに…。
作中の最後、表向きはクーデターを鎮圧した軍(正義)が称賛され
より良い新しい世界を作るという最後でしたが、その軍自体が真っ黒というのは最高に皮肉がきいていて良いポイントだと思います。
この世界はまさに『ディストピア』。
現実世界でも起こりうるこの”恐怖”の出来栄えは、まさに圧巻ですね。
最近の映画ではあまりみられることが無い『メッセージ性』をもった貴重な作品だと思います。
「主人公や特定の人物が活躍して悪を滅ぼす」というような
明確なストーリーではないため、アクションや『正義=勝つ』というものを期待している人はがっかりする内容かもしれません。
ただ、困難な時代を暮らす自分たちの生き方を見つめなおす機会を
与えてくれる映画になっていると思いますので、観て損はないと思います。